自称詩人

詩を書いています。

冬を待ちながら

大人になれない 私が 歩いて行く 道は いつになったら この町を 超えられるのだろうと 呟いている 猫に 懐かれたいという 夢は とっくに 破れているんだ 諦めよう 誰かを 求める 叫びは 誰にも 届かない 心にもないことは 言うものじゃないと 誰も 教えてく…

闇の価値 光の価値

置いてけぼり 闇の底辺 明け方の夢 光の上辺 泣かないで 閉ざされた 空は箱のよう 生まれなければ 敗北する 選択が 喜びに 苦しみが 受容に 磨いた靴 コンクリート 追いかけて 分からないね 急がないね 知らないね 闇の価値 光の価値 夢の欠片 蹴飛ばしたら …

ゴミの蹴る土

この世のゴミ 低く低く 遠く 志を ゴミなりに 街を歩く 道なりに 土に 重く 足跡は 簡単に 古くなる 低く低く 大げさに 私は 土を 蹴っている

名前

跡形なく 雨に 流してしまえば いい 苦しむこと 私が 現実から 消える もしも 名前を 呼んでくれたなら 苦しむこと 私が 現実に 帰る

まみむめも

豆粒みたいに 見つかってしまった むず痒い 目眩の中で 戻らない時間

はひふへほ

羽ばたくように 火に背き 震える指を 部屋から外に 葬り去る

隠した野性で 生き延びろ

心まで 飼われないで 自分の餌は 自分で探せ 言葉のくぼみまで 管理させないで 煮えた思いを 邪魔させるな 隠した野性で 生き延びろ

なにぬねの

生温かい 悲しみは難問 苦い あくびを そのままに 沼の中から 這い出して 猫背で ジグゾーパズルを のらりくらりと 始める

運命に翻弄なんてやめちまえ

運命に翻弄なんて やめちまえ 言葉は 魂の革命 真昼の星 コンクリートの 下の土 雨雲の上の 太陽 ここから見えない 流星群 運命に翻弄なんて やめちまえ 降り注ぐ革命が 私を照らす

たくさん食べたい

存在の否定 たんと食べろ 私は欲しがる胃袋だ 存在の肯定 たんと詰めろ それこそが 尊厳だ 胃袋に 挨拶せよ

たちつてと

絶えず 降り注ぐ 痛みよ 小さき棘の 主張 翼が 折れて 照らす 日の光 止まれ 私の胸に

さしすせそ

寂しくて 何も 見えないから 静かに 1人で 待っている 涼しげに 微笑む せわしない まばたきで そこにいろよと 教えてほしい

私は線路を歩かない

私は線路を歩かない 汽車に乗る 私は山には登らない 海に潜る 私は空を仰がない 泥を見る 私は涙を落とさない 目を瞑る 私は言葉を紡がない 宙に捨てる 私は汽車に乗り 海に潜り 泥を見て 目を瞑り 己を宙に捨てる あてのない 果てのない旅

かきくけこ

必ずやってくるんだよ 気難しがり屋の君の 苦しみの末に 気高くつたう涙 こわばる微笑みの果てに

あいうえお

熱い魂 置いていけ いつも見限る お前のくせに 後ろ向きな 根性が えもいわれぬ 正直者の 落とす涙は乾かない

壁をどつく

穴が開いた どこに開いた 私が開けた そこに開いた 小さかった 段々に 大きかった 広がった 流れ出た 外に出た 止まらない ついについに 穴を開けた 自分の腕で 壁をどついた 私が勝った

揺りかごを蹴り上げろ

大きくなったらね 私は 自分の足で 歩くの そう 赤子の私は 誓っていた つまらないの 通り過ぎていって 私が そのうち 追いかけるから 遊びにいこうよ 砂利道を 駆け抜けて 何が あるのかな 揺りかごを 蹴り上げろ 飛ばしていこうぜ 信号機を 見上げて 揺り…

持続可能な鼓舞

私は 鼓舞しつづける あなたを 鼓舞し続ける あなたは 鼓舞し続ける 私を 鼓舞し続ける 握り締めた スマートフォンを 崖っぷちに 埋めたなら 固定電話も 真っ青の 愛しくも 苦しい 花束が 掘り出される そこでは 励ましが 称賛が 嵐になる 喜びを叩き続けて…

蜂になりたい

ハミングが 泣いている 隣の部屋に 聞こえぬように 調節した ハミングが 泣いている あぁ 私は 蜂には なれないのだ ブンブンと 泣きながら チッチキと 歯を鳴らし 今日の予定を 立てる

神がくれた サービス

そう 思ったら 出来る 誰彼 構わず 死んでいくから 誰彼 構わず 生まれてくるから 私が 思ったら 出来る そう 思ったら 出来る 大きな 間違いで つじつま合わせ 小さな 間違いで おはじき合わせ 私が 思ったら 出来る そう 思ったら 出来る 確かに 低音が 響…

駅の青年

ある年 私はお正月 駅で あてもなく 時間を 潰していました 青年が 声を かけてきました 少し 話しました 私に 缶コーヒーを おごりながら 彼は 自分が 苦労人であると 話し 「これから 僕の家に こないか」と 言いました 私は 断りました その代わり 話をし…

泣けば泣くほど

泣けば泣くほど海に帰り 笑えば笑うほど日が映える 命は大きなボウルの中で転がされ こねこねと出来上がる オレンジの明かりが灯る ブルーのため息がしなる 泣けば泣くほど魂は動く 笑えば笑うほど息を飲む 驚きの朝に讃えられますように

うどんを煮る

お湯を沸かす うどんを煮る 昆布出し汁を入れる たまごを入れる そんな幸せ うどんは踊る 鍋で踊る 昆布だし汁と踊る そしてついに たまごのダイブだ 出来上がり いただきます ごちそうさまでした

爆発

火薬をつめろ 火薬をつめろ 今日も 明日も 火薬をつめろ 火薬がなきゃ 火薬がなきゃ 爆発させられない ガソリンを入れろ ガソリンを入れろ 今日も 明日も ガソリンを入れろ ガソリンがなきゃ ガソリンがなきゃ 走ることができない 命を燃やせ 命を燃やせ 今…

意思を持つ石

意思を持つ石 その名は轟く 頑なに閉ざした 強情な窓を割れ

思考の暴れん坊

静かにしてくれ 思考の暴れん坊 2つの声 読書中の私 読んでいる私 言葉騒ぐ私 平行線が交わって うるさいな 集中できない 2つの声 食事中の私 味わう私 雑念の私 平行線が絡み合って ダマになって 収拾がつかない 2つの私 とても疲れた いつもフル回転 休ん…

死守しなさい

みんな喜べ 死守しなさい 道すじ見えたら 守り抜け 爆弾を抱えて 火をつけて ほらね あなたを待っている みんな目覚めろ 羽ばたきなさい 再生の歌 繰り返せ 耳にうるさく 心に深く 歌える限り 繰り返せ

そこにいた

覗き込んで 初めて見た 真実の私 遠いところに 叩き続けて ついに開いた 歩き続けて ついに見つけた 通り過ぎずに 水溜り 私はそこにいた 誰彼もなく 私はそこにいた 儚くもなく 私はそこにいた かけがいもなく 私はそこにいた

フシギ種

髪はどうして伸びるの 不思議だね 爪はどうして伸びるの 不思議だね 息はどうして吸えるの 不思議だね そう私たちは フシギ種

謎の物体を 発見しました

小さな底に 謎の物体を 発見しました 光らないで くすまないで 落ち込まないで 絶対に 謎の物体 はあるのです 誰にでもあるのです だから 透かして 見るのです 月が小池に落ちる夜に